保証人になってもらえませんか?

最初、そのお客様は、飲み物はコーヒーのみにして、それ以外、ケーキなどを含め食べ物を5品から6品ほど注文されました。他にも注文されたものがありましたが、私の働く深夜帯には扱っていない商品だったため、それらにつきましてはキャンセルさせていただくこととなりました。

 

お腹がすいていらっしゃるのか、あるいはいわゆる大食いの方なのか。かなりの量を注文されるなという印象です。ただ、注文の商品をお出しすると、コーヒーを飲むくらいであとは手を付けていらっしゃいません。どうしたのだろうと思っていたところ、お客様がおっしゃいました。

「あの、いきなりで、大変申し上げづらいのですけど、はっきり申し上げます。保証人になっていただけませんでしょうか?」

私は戸惑ったあと、思わず笑い声をもらしてしまいました。どういうことなのかと。

「失礼ですけどオーナー様でいらっしゃいますよね?」

違いますと申し上げた途端、お客様は、驚かれた様子。スタッフであることを伝えると、では、オーナーはどちらにと聞かれたので日中に勤務をしていることをお伝えしました。すると、

「そうでしたか、では、あなたに、お願いさせていただきたいのですが?」と、今度はオーナーではない平のスタッフと分かった私に、保証人になってくれるようお願いしてきました。

 

依然、戸惑う私でしたが、聞くと、家を購入したり老後の施設入居のために保証人が必用になるらしいのですが、仲の良かった友人たちに断られ続けたため、しょうがなく一人一人この人だと思う人にあたっているそうです。

男性はせっぱつまっていると言います。私がお断りしたあと、他のスタッフを紹介してくれるよう頼まれましたが、それもいたしかねる旨お伝えしたところ、

「もう、いいです。どんなに私が勇気をもってこの話をしたか。気を遣ってこれだけ多くの料理を注文したのに。あなたにはそれが分からないんだ!」

男性は言うと、千円札をテーブルにおいて出て行ってしまいました。

私はしばらくの間、あっけにとられてしまいました。ちなみに、注文された料理は千円では足りません。

元女子アナウンサー

「よくうちの住所が分かったね」

厨房スタッフの井上さんが、送られてきたキノコの箱の会社名を見てそう言いました。箱と一緒に入っていた手書きの手紙の中にこんな記述がありました。

「貴店に魅了されました。弊社の食材をお使いいだだけましたらこれほどうれしいことはありません。ぜひお使いいただけたらと思います。」

手紙の後ろの方にはご自身が良いと思ったお店にしか材料は下ろしていないとも記されてあります。

「この会社知ってる。昔テレビでアナウンサーやってた女の人が経営しているところだ」

 

よく聞いてみると、私も知っている人でした。ああ、あの人いまは田舎でものづくりをしているのだと知りました。私は普段、厨房にいるため分かりませんでしたが、当店にいつかいらしていたようです。

「あの人もよくこの店が分かったね」

一方、テーブル席に店長と一緒に話をしている、昔、ケーブルテレビでアナウンサーをやっていたという女性。隣には町内会長さんが同席しています。

町を活性化させるNPO法人をやっていて、当店にも働きかけにきたのです。いろいろな働き方があるのだと、この年になってもほとんど社会を知らずに生きてきた私にはとても新鮮に映りました。

 

後で休憩室に行くと、机の上には店長が話をしていたNPO法人の女性が持ってきた冊子がおいてありました。そこにはこう記された名刺が添えてありました。

『NPO法人 ○○町総活性プロジェクト推進委員会 准全権チーフ ○○さえ子』

研ぎ澄まされて

今日のお昼は結構込み合っていて、先に休憩とっていいよと言われたのですが、大丈夫ですと言って変に強がってしまいました。結果、お昼はほとんどないようなもので、疲れすぎていたのか、あまり食事をとりたいと思いませんでした。

 

家に帰ってからも、少ししか食べませんでした。体が重い様な軽いような、力が抜けてしまって、横になったのですが、それでもやけに意識がさえていて、ちょっとの間、金縛りにあってしまいました。

聞くところでは、金縛りは現実に起きているものではなく、夢の中の出来事なのだそうです。なので、金縛りに出てくる得体のしれない幽霊などは、自分の作り上げた恐怖のイメージということになります。

ただでさえ疲れているというのに、どうして創造(想像)主である私を苦しめようとするのでしょうか。そんな彼ら(イメージ)を作り上げてしまった私は、本当のところ何を考えているのか。