元女子アナウンサー

「よくうちの住所が分かったね」

厨房スタッフの井上さんが、送られてきたキノコの箱の会社名を見てそう言いました。箱と一緒に入っていた手書きの手紙の中にこんな記述がありました。

「貴店に魅了されました。弊社の食材をお使いいだだけましたらこれほどうれしいことはありません。ぜひお使いいただけたらと思います。」

手紙の後ろの方にはご自身が良いと思ったお店にしか材料は下ろしていないとも記されてあります。

「この会社知ってる。昔テレビでアナウンサーやってた女の人が経営しているところだ」

 

よく聞いてみると、私も知っている人でした。ああ、あの人いまは田舎でものづくりをしているのだと知りました。私は普段、厨房にいるため分かりませんでしたが、当店にいつかいらしていたようです。

「あの人もよくこの店が分かったね」

一方、テーブル席に店長と一緒に話をしている、昔、ケーブルテレビでアナウンサーをやっていたという女性。隣には町内会長さんが同席しています。

町を活性化させるNPO法人をやっていて、当店にも働きかけにきたのです。いろいろな働き方があるのだと、この年になってもほとんど社会を知らずに生きてきた私にはとても新鮮に映りました。

 

後で休憩室に行くと、机の上には店長が話をしていたNPO法人の女性が持ってきた冊子がおいてありました。そこにはこう記された名刺が添えてありました。

『NPO法人 ○○町総活性プロジェクト推進委員会 准全権チーフ ○○さえ子』

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