わさび寿司

仕事終わりの帰宅途中にまだ明かりのついているお店がありました。

いつからやっているお店だろう。時間も時間なだけに人通りも少なくお客さんもいません。近づいて行ってみると、お店のカウンターにはパックに詰められたおいなりさんが並べてあります。そして注目すべきはそのとなりに並べられたにぎり寿司。POPにはこう書いてあります、

「わさび寿司、お口直しにどうぞ。評判です!……」

 

もしかすると、この時間に帰宅する人をターゲットに副業的に始めたお店なのか。

「御用の方はこのひもを引っ張ってください」札が示す先についているひもを引っ張ると、奥で鈴がリンリンと鳴るのが聞こえました。

出てきたのは、とうに還暦を過ぎた男性でした。目が半開きで寝ていた感じを受けます。目の下にはクマがあり、思わず健康を心配してしまいます。

「へいらっしゃい」と言うので、六つ入ったおいなりさんを注文しました。ついでに、わさび寿司についても聞きました。

「わさびがネタとしゃりの間に大量につめられています」

そのまんまだな。どうしよう、買ってみようかな。最近面白いことないし。しかしわさび寿司はすべて三つ入りと六つ入り。

「ばら売りは、していないんですかね?」

これはもう、このままで販売しているんですと店主がすみませんと頭を下げます。

「ようするに、ガリみたいなものです」

ネタとしゃりがくっついている、ガリ。

「学生さんたちに評判なんです」

学生に評判。うーむ。評判って、どういう意味だろう。まあ、いいや。

とりあえず、三つ入りのわさび寿司も一緒に買いました。

 

家に帰って、おいなりさんを二つ食べた後、ガリのつもりでわさび寿司を口に入れました。

呼吸ができなくなりました。

声にならない声を出しながら吐き出し、その後はもう何も食べられなくなりました。急いであたたかいお茶を飲み、体と口の中を中和します。

あの店主、ばかです。ほんとそれだけ。

いなりだけで売ればいいやん。買ってる学生もバカ。

? ていうか、あれ、うそか?

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