夜叉(やしゃ)姿のお客様

春になったと思っていたら急に寒さが戻ってくる。天候のへそ曲がり気質をいいかげんどうにかしてほしいなと思います。冬物はしまってしまったので、薄着でぶるぶると震えながら店へとかけこみました。

店内では、お客様も寒い寒いとおっしゃる方ばかり。暖かいお飲物を注文される方が多くいらっしゃいました。そんな中、着物の上に和装のアウターをお召しになったお客様が来店されました。

 

アウターを脱いだ下に着ていらっしゃる白い着物姿で、少しばかり夜叉(やしゃ)のように見えなくもありません。演歌歌手や一座の座長か何かをされているのか、おそらくそういう類のお仕事をされているのではとお見受けしました。何より、肌がとても白くて、最初は女性かと思ったのですが、お席につかれると中世的なお声で、おしぼりのご依頼がありましたので、さっそくお水と一緒にお出しすると、そのおしぼりで直接お顔をおふきになりました。肌色が見えてきて、男性だと分かりました。

注文の紅茶とシュガートーストをお出しすると、紅茶の上に何か振りかけていらっしゃいます。お砂糖かなと思ったのですが、違いました。あの色は桜色。というより、桜そのもの。桜の葉を持参されていたのです。紅茶の上に振りかけられたその桜の葉は非常によい色合いでした。

お客様のお持ち物がふろしきに包まれ隣の席に置いてあったのですが、中に和製の仮面のようなものが見えました。お仕事で使われるものでしょうか。

 

お帰りになる間際、身支度をされて、その時にコートを羽織られたのですが、一緒にふろしきの中からさきほど私が見かけた仮面を取り出されました。

もしや、それを着ける?

ドアを開けて出て行かれる時、仮面をつけるそぶりを少しされたような気がしたのですが、実際にはどうだったのでしょう。

仮面は、ただ単純に取り出して手に持っただけか、実際に着けるためだったのか。最近はファッションでマスクを着ける人もいるそうですから、あってもおかしくはないと思います。あるいは、ただの寒さ対策だったのかも。

お客様が飲まれたカップの中は空になっていました。持参されていた桜の葉は紅茶と一緒に召し上がられたのだと思います。ただの飾りではなかったようです。おしぼりには、おしろいのあとがきちんと残っています。

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