納豆でケンカ

納豆が苦手な人にとって、その匂いがそばにあったなら、なかなか苦しいというのは想像に難くありません。ましてや自分自身が別の食事をしている最中であったら、なおさら。

 

「くっせーなぁ」

その一言が、親子ほども年の離れた隣のお客様の怒りを誘ってしまったのです。

「なんだと。なんだ、このやろう! 納豆はそういう食べ物なんだよ!」

言ってしまった若い男性の方が、「ちっ」と舌打ちをしました。それはその相手にというよりも、自分自身への軽率さの反省だったのかもしれません。

しかし言われた方の男性としては見過ごすわけにはいかなかったようです。

「「ちっ」だ? なんだその態度は! わけーもんはこれだからダメなんだ。昔はこの納豆一つを家族みんなでわけあってたんだ。お前らみたいに飽食の時代に生きてねーんだ! 分かるかお前にそれが!」

怒りのせいで、主張がやや脱線してしまったような気がしました。するとやはり、

「知らないですよそんなの! 黙って聞いてれば調子にのりやがって」

止めに入ろうと思いました。が、

「それだから、若いギャルたちに加齢臭、加齢臭って言われるんだろ」

若い男性のその続けざまの一言で、言われた年上の男性は、まるで雷に打たれたかのように静かになり、それきり口を閉ざしてしまいました。視線はうつろに遠くを見つめて。

 

若い男性も年の離れた方の男性も、ともに支離滅裂だったような気がします。怒りはときに、思ってもいない言葉を発言させてしまう。そんな暴走エンジンになる怖さがあります。

厨房スタッフの井上さんにこのことを伝えると、

「じゃあ、今度から、納豆は牛乳につけて臭みをとることにしよう」

極端な考えだと思います。ただ、いじるべきところは本当はどこなのか、私たちみんなが考えてみる必用がある気がします。

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