ビッグデータの話のはずが、

後輩がこんな話をしました。

「ビッグデータって知ってますか?

詳しい内容は忘れちゃったんですけど、企業が職場とかでつけているデータがありますよね。普段それを利用するのは自分の会社だけだし、データをとっておいてもその後、使わないままだったりするじゃないですか。

でも、そのデータを集めて何年分とかの単位で見てみると、偶然だと思っていたことが、実は、理由があったりするんですって」

「ある時期になると必ず起きている出来事だとか、他の会社でつけていたデータを組み合わせたら思わぬ発見があったりだとか」

「……」

後輩にしては、意外にも、ビジネスライクな話でした。

「要するに、そういう膨大なデータを集めたのが、ビッグデータっていうらしいんですよ。IT化が進んだことで発見されたみたいな感じらしいんですよ」

私はいつものように何を言うこともなく適当に頷きました。

「それで、なんでそんな話をしたかと言うと、僕の地元の先輩から聞いた話が、まさにこのビッグデータな話なんですよ」

どういうことでしょう。興味がわきました。

「その先輩のおばあちゃんが、家族が気づかないうちに夜に徘徊するようになってしまってたんですって。それで困っていた実家のお母さんから相談を受けたその先輩が、実家の家にいくつかカメラを設置して、何時ごろそのおばあちゃんが徘徊を始めるのか調査してみたんです。

それから数日経った時に、また家族が知らない間におばあちゃんが徘徊をしたんで、監視カメラの映像を再生して見てみたんです」

周りにいたスタッフたちは、普段見ないくらい後輩の話に耳をたてています。みんな、後輩の顔をのぞきこんで、その後の展開にかたずを飲みました。

「映像、すごいですよ」

前置きはいいから早く言えという空気。

「その映像の中に……」

だから、早く。

「おばあちゃんの……」

おばあちゃんの、何?

「手をひっぱって連れて行こうとする、全然見たことのないおっさんが映ってたんです」

えっ? どういうこと? 素直に事情を聞こうとしました。が、

「で、終わりです。この話は」

その場が、固まりました。

あまりにも驚くべき結末……。

それ以上話を続けようとしない後輩に女性スタッフが聞きます。

「終わりって、その後は、どうなったの? 誰だったのそのおじさんは? 警察には通報したの?」

「通報なんかしませんよ。相手は幽霊なんだから」

? なに、幽霊? いきなり怪談話? 冗談だったのかと聞くと、

「何でですか。冗談じゃないですって。真面目な話ですよ。足が映っていなかったんです。そのおっさんには。だから、警察に連絡しても無駄だろうってなって。だから、この話はこれでおしまいですよ」

後輩は完全に真顔でしたので、これはもう何を言っても無駄だろうとなったとき、女性スタッフが最後に申し訳なさそうにたずねます。

「それで、そのおばあさんは結局、徘徊は、どうなったの、その後?」

「どうなったのって、まだ続いていますよ。その知らないおっさんの幽霊といっしょに」

 

こういう話を、私たちはほとんど毎日聞いています。

 

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