厨房で告白タイム

こんなのは、小学生のとき以来だ。

二人の男が女性に向けて、90度の体制になって手を差し出している。

一人が先に告白をすると、「ちょっと待った!」と言って、もう一人が同じように手を差し出した。先に告白をしたのは後輩で、後からいったのが先輩だ。

通常、厨房で見られる光景では、間違いなくない。

だが緊迫した状況はなおも続く。

助っ人で来てくれていた副店長の娘さんが、明日にもこの店をあとにする。その前にせめて告白をして思いを伝えておこうと二人の男たちは考えたのだ。

「でも、明日もう一日あるんだからその日でええやん」とも思う。が、後輩は日曜日が休みだから、たぶん今日でなくてはならないと考えたのだろう。

しかし、まだお客さんも多く残っており、料理を提供し続けなければならない。

そこで彼女は、手を差し出してきた男たち二人の手をとって、言った。

「私たち、戦友ですよね。だから、絶対に私のこと忘れないでくださいね。ね!」

そう言うと、彼女は笑顔で料理を持ってホールへと消えていくのだった。

 

厨房に残された男たち。その現場で一緒に残された私は、あのときいったいどうするべきだったのか、たぶん一生分からないままです。

 

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