面倒くさいはなし

先輩と一対一で話をして、どういう経緯で坊主になったのかが分かりました。

 

まず、失恋の傷を癒やそうと、遠出するため電車に乗って海に行きます。そこで、朝から晩まで荒れ狂う海を見つめていたところ、近隣の方が住職さんを呼んできて説法を聞かせます。その後よく話をきかないまま、うなずいていた先輩は、髪をきられて坊主にされます。旅の疲れでうとうとしていたため、バリカンがはいったのに待ったをかけることができなかったそうです。

翌朝、先輩が起きたところに住職がご飯を用意してくれていたのですが、坊主にされたことについて罵り合いになり、住職と絶交をしてお寺を後にします。

 

海に戻った先輩は、寒空でビュービュー吹く風の下、坊主頭を上着で覆い、近くの商店で購入した画用紙と鉛筆で、拾った板の上にのせて絵を描きます。美術の時間以外に絵を習ったことのなかった先輩が初めて本格的に描いたデッサンでした。

先輩はそれを持って街へと繰り出します。絵を見てもらい、あわよくばそれを買ってもらおうと考えたのです。しかし、お世辞にも先輩の絵は上手いとは言えません。通りかかった人達からは好奇の目を浴びて、時にはあからさまに「俺の方がうめー」とか、「誰に断ってここで商売してる」と近くで寝ていたおじさんに怒鳴られてしまう始末。

 

すっかり自信をなくした先輩は、翌日、電車に乗って街に帰ってきてしまいます。

街をさまよっていたところ、お腹が空いてきたので、道のはずれに腰を下ろして座っていたところ、男性が声をかけていることに気付きます。また何か言われるのかと思いびくついていたところ、その男性は片手に袋を持っており、これをあげると言いました。見ると袋の中にはパンの耳が沢山入っており、その人はパン屋さんの見習いだといいます。「困ったらまたここに来てください」と男性が言うと、お返しに、先輩は鉛筆で描いたデッサンを渡しました。その場所をあとにしようとしたとき、先輩は妙に頭が冷えることに気づきました。そこで、何かかぶるものはありませんかと男性に聞くと、男性は店に戻り、「この前辞めたスタッフさんの帽子だけど」と言って、厨房でかぶる白いハットを先輩にくれました。ありがとうと言って先輩は男性と別れます。

 

夜の街を徘徊していると、パンの耳の入った袋をぶら下げていた先輩の足が止まります。疲れたのではありません。

見つけたのです、彼女を。

正確には、助っ人で来てくれていた副店長の娘さんにそっくりな女性を。

アイドル劇場の入口には出演するアイドルが写った大きなポスターが飾られています。そこできしくも、恋い慕う人にそっくりな女性を見つけたのです。

そのままお金を払い、先輩はそのステージを満喫することになります。そこに偶然にも同じ傷を負った後輩の清水がおり、二人で、ステージに立つ副店長の娘さんそっくりのアイドルに声援を送り続けたということです。

 

以前より仲が良くなった二人は、朝まで先輩の家で語り合い、翌日二人そろって出勤したというわけです。

どこからが本当で、そうでないのか、正直言って、分かりません。

でも、もうこれ以上聞くのが面倒くさいので、そういうことにしておきたいのです。

長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントフィード

トラックバックURL: http://www.iyashinohaugstuhain.com/%e5%9b%bd%e5%ba%9c%e7%94%b0/1471/trackback/