brake the ice

その時、先輩と後輩は休憩室で忘年会のレクリエーションをどうするか話をしていました。そうして途中からはやはり、二人の話題は例のアイドルの話へと変化していきます。

聞いてみると、やれ微妙に眉毛の形が変わっているとか、先月より太ったとか、なんでもいいからその娘の話題にもっていこうとしているのが分かりました。二人はこの話を年が明けてからも続けようと考えているはずです……。

仕方ありません。

私は無表情で「二人とも、ちょっと……」

最初、彼らは笑っているように見えました。

「なんだ、あんたも仲間に加わりたいのか、さあ、お入りなさい。この一番いい席にすわりなさい、今お茶をだしてあげるから」

そんなのどかな、まるで田園の老人たちが仕事をひと段落させた後にしぼり出すような表情をする二人。この後すぐに、その朗らかな顔が硬直することになります。

私は言いました。

「二人の内のどちらかは、もう一つのハーグストゥーヘンへ出向しなければならない。行くのは副店長とこれから雇うスッタフ。そして二人のうちのどちらか一人だ」と。さらに、辞令は来週すぐ下るのだとも。

要件を伝えた私は、すぐにその場から立ち去り店の外へ出ます。その場にいるのがつらかったのと、おそらく私がいては二人ともつもる話も出来なくなるだろうと考えたためです。そんな思いから私が店の外へ出て空の青さを、高さを、見つめていたところなんと、二人も外に出てきてしまったのです。「話をするなら外で」ということになったのでしょう。

私は気まずくなり、両手を頭の上に伸ばして《伸びのポーズ》をとります。「私は十分のんびりしましたよ」というアピールです(してないけど)。そうして私だけが再び店内へと戻ることになります。

実質その日の休み時間は私にとってあってないようなものでしたが、一番つらいのは私ではなく、二人なのです。

 

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