ここがサークル

並木道を通ると、桜が列を作って歓迎してくれます。

駅から少し歩いたところにあるキャンパスを見ると、入学したころのまだあおかったあの頃の気持ちを思い出します。

「店長が若かった頃は、サークルとかってあったんですか? 僕は大学にいっていないから、そういうのがあまりよく分からなくって」

スタッフの井上君が少し気おくれしたような顔をして言いました。

「昔はね、貧乏学生が多かったからね。勧誘とかはあったけど、人がうじゃうじゃいるのはあんまり好きじゃなかったんだ。だから、静かなところはないかなと逆にこちらから探してみたんだ。そうしたら、料理研究部っていうチラシが貼ってあって、ここならご飯も食べられていいんじゃないかって」

「それで、毎日食べ放題でしたか?」

「いや、結局、食材とかは自分達で調達してこなきゃならないから、それなりにお金がかかるんだよ。お金をかけて素人の料理実験台になんてなりたくないだろう? だから、普通の料理屋でアルバイトをすることにしたよ」

そういうものなんですねと井上君。

 

本当は、面白いサークルに入っていましたが、話すと長くなるので言わないことにしました。それに彼を含めたこの店の従業員といること自体すでにサークル活動のようなものなのです。

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