一時代を謳歌した人

久しぶりに会った彼は、ずいぶん前に会った時と変わらない派手な格好をしていました。

「あいかわらずの味ですね」

そう言って、最後まで特性ジュースを飲み干してくれます。

「でも、おいしい。独特で」

 

昔の知り合いで、もう還暦まじかだと言うには派手さは衰えていません。帽子が特徴的なので一発で彼と分かります。

そんな彼から消極的な言葉が。

「若い人の感覚が分からなくって」

コップに残っているわずかなジュースを、ストローで吸い取るようにのど元へ運びます。

「店長は、そういう経験ないんですか?」

ずっとですよ。

すると、吹き出したように豪快に笑う彼の声が響きわたって、他のお客さんの目が私たちに注がれます。

「あのときは、自分の感覚に人がついてくるって感じだったんです」

急に小さな声になり、少し遠くを見つめています。

 

でも、今でも自分の作ったものが好きなんでしょう?

大きく頷いて、「もちろん」と彼は言います。

たどりついたということじゃないですか? 私が言うと、

「そういうことか」

と得意な顔になり、

「もう一杯、このまずいの」

そう言って彼はまた、ジュースをおかわりしてくれました。

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