一人で走らせて

体がなまっているのを放っておけるほど、自分は怠け者ではなかったのです。

昨日から、運動靴とジャージを用意して、お昼に店の外を走ることに決めていました。まわりのスタッフにも宣言して、今日から走りますということでちょうど準備が整ったところだったのですが。

なんでやねん。なんで、

「井上さんが一緒なんですか?」

 

下はジャージをはいているけど、上着は白のタンクトップのみ。

「ランニングと言えば、これでしょ」

一人で走りたいのに……。

「なにしてんのさ、行くよ」

井上さんはダイエットをすると言って僕のランニングにかぶせてきたのです。

当然こうなれば自分のペースで走られなくなります。だって、井上さんの体重考えたら同じペースでなんてありえないですもん。相撲取りと一緒にマラソンランナーが走るのを想像してもらえればいいと思います。言い方は悪いかもしれないですけど。あれ? 井上さんが全速力で走り始めた。

「デブなめたらあかーん! ははははー!」

下手に出れば、負けてられるかっての。

一挙に、十メートルほど追い抜きました。そしてこれがあだとなりました。

井上さんは僕のペースについて来ようとして、足をひねって倒れたのです。

そのまま井上さんを肩にかかえて時間ぎりぎりに店に戻りました。そのまますぐに仕事です。自分一人で走るより何倍もつかれましたよ。だって、力士を肩にかけて運んでいたようなものですから。

「木抜くんさ、治ったらさ、また一緒に走ろうね」

 

一人で走るわ。

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