娘と歩いたあの駄菓子みち

まだ娘が小さかったころ、よちよち歩きが進歩したくらいのときのこと。住んでいたアパートへ二人で一緒に帰る途中でした。その通りに駄菓子屋さんがあって、娘が興味をもったのか、指さしていた『きな粉棒』かなにかを買って帰った記憶があります。数十年振りにその通りを歩いてみました。

 

商店街はシャッター通りというわけではありませんが、当時より少し活気がなくなっているような気がしました。でもその反面、街並みはキレイに整備されていました。

「たしかこのあたりだったと思うけど……」でも、そうか、やっぱり。

駄菓子屋はもうそこにありませんでした。代わりに、そこには自転車屋さんが……。

お店の前には修理の終わった自転車が何代か並べられてありました。立ち止まり、その外観を眺めていたら、中から30代くらいの男性店員さんが出てきました。

「いらっしゃいませ。何か、自転車のことで?」

「あ、いえ、ごめんなさい。そうじゃないんです。以前、ここに駄菓子屋さんがあったと思うんですけど、そこでお菓子を買って帰った記憶があって……」

言ったあと、少し記憶をたどるような表情を見せて、

「あー、それ、たぶんここです。家の店です」

「?」

店主の話を聞くと、昔は町いったいが子供だらけで、駄菓子をお店の前に出して売っていたんだそうです。でも今は少子化で子供が少なくなってしまったため、本業の自転車だけでやりくりしているのだそうです。

「僕自身、ここらへんで遊んでいた子供の一人なんですけど。友達もみんな引っ越してしまって。だから、駄菓子を売っていたことを知っている人も今はほとんどいないんですよ」

店員さんはそう言うと、自転車でお困りのことがあればいつでもいらしてくださいと笑顔をかけてくれました。

 

一つ一つの日常が物語を紡いでいるのだと思います。私がやっている日常業務もその物語の一幕だと思って、いつでも丁寧でありたいと思います。

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