幸せそうにパフェを食べるハンサム

サンダルにジャージという出で立ちの男性。カウンターに座り、水の入ったグラスの陰影をしばらくの間眺めていました。

 

カウンターにはお客様お一人。テレビをおつけしましょうかと聞くと、

「いえ、大丈夫です。いつも部屋で流しているんで。」と細身でハンサムなお顔のその男性は低い声でおっしゃいました。

注文のあったパフェをお出しすると、本当に幸せそうにそれをながめ、試験管の匂いをかぐ具合にパフェに鼻を近づけていらっしゃいました。そうして、本当においしそうに一口づつお口に運んで、そのたびに目をつむり、目じりにしわを刻んでいるのです。

「太らない体質なんですよ」

お客様がおっしゃいます。確かに、この時間にパフェなど食べたら太ることを気にされる方は多いと思います。

お仕事の休憩か何かでいらしたんですかと聞くと、

「ええ。まあ、そんなところですかね。越してきたもので」

昼も夜もないくらい忙しいということで、どんなお仕事だろうと思いました。

「もう、いろんなことから離れたくって」と、携帯電話も持ってこなかったとおっしゃいます。

 

小一時間して、お会計に来られたとき、携帯電話だけでなく、お財布も持って来なかったことに気づいたらしく、

「すみませんすぐにとってきますから待っててもらえませんか。あ、そうだ、電話、お借りできませんか」と知り合いに持って来てもらうとおっしゃいます。

今日は結構ですからまたいらしてくださいと私は言いました。

出て行かれる時、両手を合わせて申し訳なさそうな顔をされましたが、そのお顔より、パフェを食べるときのあの幸せそうな顔が見たいです。

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