木抜

三秒ルール

休みの日のことでした。僕は、あってはならない光景を見てしまったのです。

飲食関係の制服を着た若い男性が、出前用の荷台を自転車の後ろに積み、自転車をこいでいました。よく見ると、その自転車は出前用と言うより、マウンテンバイクに近いものでした。「出前にしては珍しい自転車だな」と僕が違和感を持った、ほんとうにその時でした。

男性が急ブレーキをかけたかと思うと、後輪が浮き上がり、積まれていた荷物は勢いで路面に落下してしまったのです。

 

あわてた男性は、落ちた出前用品の中を確認しようと、あろうことか、傾いた状態のまま立て直さずにふたを開けてしまったのです!

僕は比較的近くから見ていたのですが、汁浸り(しるびたり)になっている様子で、チャーシューとか餃子もこぼれ落ちていました。

驚いたのは、その出前の男性、落ちたチャーシューを拾い上げ、食器の中になんとなしに戻したのです。「三秒ルール」と言ったかと思うと、落ちた餃子の一つを食べていました。

 

比較的人通りの少ない場所でしたが、男性は周囲を気にもせず、引き返すそぶりなどは見せず直進していったので、おそらく、そのまま出前先に向かったのだと思います。

休める人、休めない人

仕事の後片付けなどが長くなり、駅に着いたのは終電間際でした。三、四人の人たちが、仲間の一人を引っ張って離そうとしませんでした。

「だめですって! 明日ありますから、本当に!」

引き留めようとする人たちはしきりに大丈夫だからと言って聞きません。

「みんなは休みかもしれないですけど僕はちがうんですって。仕事あるんですから!」

それを受けても仲間たちは聞く耳を持たずを貫きます。もう一軒行こうと。

終電が終電がと最後までかたくなに帰ろうとしていた男性でしたが、僕がホームで終電に乗り込んだ時には、その人の姿はありませんでした。たぶん、間に合わなかったんだと思います。

 

休める人と、休めない人。一緒に過ごそうとすると、無理が生じてしまうのだと思います。

代理の歯科医

歯医者に行きました。小さな歯医者で、こっちに来てから通いなれているのでここにお願いしています。入室すると、先生が別の人に変わっていました。不思議に思っていると、

「今日は私が」

と、いつもはアシスタントの人が担当することになりました。

「安くしますので」

と言われましたが、そんなことをやっていいのか、しかも技術的に大丈夫なのか不安になります。でも、来たのに治療しないで帰るのもなんなので、お願いすることにしました。

やってもらうと、やっぱり下手で、荒治療でした。

しきりに「あれっ?」とか「違うなぁ」とか言っていました。

 

最終的に半額にしてもらったんですが、いまも治療したところががうずきます。