河合

研ぎ澄まされて

今日のお昼は結構込み合っていて、先に休憩とっていいよと言われたのですが、大丈夫ですと言って変に強がってしまいました。結果、お昼はほとんどないようなもので、疲れすぎていたのか、あまり食事をとりたいと思いませんでした。

 

家に帰ってからも、少ししか食べませんでした。体が重い様な軽いような、力が抜けてしまって、横になったのですが、それでもやけに意識がさえていて、ちょっとの間、金縛りにあってしまいました。

聞くところでは、金縛りは現実に起きているものではなく、夢の中の出来事なのだそうです。なので、金縛りに出てくる得体のしれない幽霊などは、自分の作り上げた恐怖のイメージということになります。

ただでさえ疲れているというのに、どうして創造(想像)主である私を苦しめようとするのでしょうか。そんな彼ら(イメージ)を作り上げてしまった私は、本当のところ何を考えているのか。

激辛カレー

「これのどこが激辛なの!」

いえ、しかしこれが当店のカレーでして、

「カレーなのはわかってるわよ! 激辛じゃないでしょって、言ってるの!」

申し訳ございません。当店のカレーはこれが激辛となっておりまして、

「微妙なんだもの、だって! 全部が微妙。サラダも微妙。コーラも微妙。ある意味、すごいわよ」

お客様がおっしゃることも十分理解できるのですが、当店のテイストというものがございまして、

「ここがいいの。私は他のどのお店でもなく、このお店が好きなの」

ありがとうございます。そう言って頂けますと従業員ともども恐悦至極に存じます。

「だったら、激辛をちょうだい!」

しかしですね……。

 

こういった問答がしばらく続き、そのお客様は女性の方だったのですが、最後まで激辛カレーにこだわっていらっしゃいました。

「もう、いいです。分かりました、そういう態度なんですね。分かりました。でも私このお店がすごく好きですから!」

おっしゃった後、カレーを召し上がられてから、怒った表情のままお帰りになりました。ある意味、辛さがきちんと利いていた証拠ではないかと思います。

タックス・ヘイブンとステーキセット

「あの人から目を離しちゃだめだよ」

スタッフにそう言われた先を見ると、髭を生やした50代位の男性が新聞を見ながら首を時折横に振っています。

どうしてですかと聞くと、どうしてもだとスタッフ。

その男性に注文のあった特上ステーキセットを届けしました。

男性は料理を置いた私の方を向き、目を合わせると、

「どうしよう」

と言って小さくただんだ新聞をテーブルの上に立て、そこにおでこをのせました。

どうされたのですかと聞くと、

「タックスヘイブン。取り調べ、うけるかもしれない」

言った後、

「よし。もう、考えてもしょうがない」と思い直したようにステーキをお召し上がりになりました。

意外にも、お金持ちの人なのかもしれない。そう思ったのと、どこかでこの人見たことあるなという感じを受けました。メディアで、見たのかな。

 

しばらく忙しい時間が続きました。

「あの人は?」

とスタッフに言われた時にはもう遅く、あのタックスヘイブンさんはいませんでした。

無銭飲食。

「まあ、ああいう人が世の中にはいるから。たまには人を疑う心を持たないと」